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不動産商品企画 まちづくり(5)商品としての建築 - 間取りというプレゼンテーション手法例 - | COCOCHI DESIGNS ココチデザイン

最終更新: 2020年12月8日


不動産 モデルハウス | living
大阪・大東プロジェクト(8区画)モデルハウス|リビング

私たちの手がける小規模まちづくりプロジェクトでは、プロジェクト毎に明確なコンセプトを打ち出す事にしていますが、地方の不動産デベロッパーが事業主の場合、かなり保守的で自由度の低い要望を出してくる事があります。 私たちの取り組んでいるプロジェクトでは、これまでのやり方では行き詰まってしまって、商品として差別化してほしいと言われる事がほとんどですが、例えば、4LDKのうち一つは独立した和室、対面キッチンのまとまったLDKで、と言う風に事業主がコテコテの間取りを要求してくる場合があります。 使用する材料も全て既製品、あまり個性を出すことを望まない、それなら私たちに依頼しなくていいのではないですか?とバチバチやりとりする事がよくあります。 普通をいかに上手く表現するか… その解決策として、地方の事業主でも最も効果的なのが間取りで新しさを表現する事です。 関西の郊外で手がけた8戸の小さなまちづくりプロジェクトのモデルハウスを例に挙げて説明していきます。 (既にご入居済みなので、個人情報保護の観点から間取図は掲載できないので、竣工写真で紹介します)

不動産 モデルハウス 外観 | facade
大阪・大東プロジェクト(8区画)モデルハウス|外観

モデルハウス用地として25坪程の角地が設定され、木造2階建が大前提なので、私たちは無理に4LDKを確保する事をやめ、1点だけ魅せ場を作る事を事業主に提案しました。 地域柄を配慮して、昔からある古民家の玄関空間(土間)の機能性を現代風にアレンジして表現します。 保守的な考え方(決定権者がご年配という事もあります)をする人たちなので、古き良きものを引用する事で懐かしさを感じてもらって、懐かしいものが新しいのですよ、とプレゼンして納得してもらう、まあ、コテコテのやり方ですね…(笑) 古民家の土間空間にフォーカスするのですが、土間は玄関としての機能だけでなく、近所の人たちと話しをするコミュニケーションの場であり、多様な使い方が出来ます。 大昔であれば竃がそこにあり、働く場所であったり、和む、笑顔が育まれる優しい空間であったりしたわけです。 このプロジェクトでは、昔の土間が持つ古き良き要素を間取り作成の最優先ポイントとして位置付け、土間(玄関)とキッチンが空間的につながっていて、土間とキッチンの中間領域にはお勉強スペースを設けて、子どもが出かけていない時にはご近所さんとおしゃべりする空間としても利用できます。 土間からはキッチンやダイニングから眺められるデッキスペースに出ることが出来、古民家の土間を抜けると裏庭がある、という動線を踏襲しています。 雨の日には小さな子どもが遊ぶ空間にもなるでしょうし、趣味のスペースにもなるでしょう。

不動産 モデルハウス 玄関 1 | entrance
大阪・大東プロジェクト(8区画)モデルハウス|土間玄関

不動産 モデルハウス 玄関 2 | entrance
大阪・大東プロジェクト(8区画)モデルハウス|土間玄関

不動産 モデルハウス 玄関 3 | entrance
大阪・大東プロジェクト(8区画)モデルハウス|土間玄関

LDKをL⇆K⇆Dとキッチンを真ん中に持ってきて、キッチンと土間が合わさって中間領域を作り、それぞれの生活空間を微妙に区切りながら視線は繋がっている、この住宅の世界観を一点集中で表現する訳です。 もちろんキッチンは水回りに隣接させていて、生活動線としての利便性にも配慮しています。 玄関からキッチンを見られたくない時にはロールカーテンなどで視線をカットする事も可能です。 お客様が来る時なんてトータルで考えれば僅かな時間ですから、この場合は日常生活の営みを優先させて考えています。

不動産 モデルハウス キッチン | kitchen
大阪・大東プロジェクト(8区画)モデルハウス|キッチン

古いものを現代に引用する事で事業主や地域柄多いと思われる保守的な方々を説得する材料となり、既製品であっても空間として面白い間取りを創る事に成功する事が出来たので、見た目の派手さではなく、機能性とコミュニティーをコンセプトに打ち出したこのプロジェクトは、おかげさまで大きな反響がありました。 ご近所づきあいが希薄になりつつある現代、私たちは、小さなまちづくりであっても、一邸一邸創り込み、一住戸だけでなく「まち」としての繋がりも同時に考えて設計しているので、このようなアプローチとする事で家族がひとつになる、ご近所づきあいが深まる方法はいくらでもあると言えます。 注文住宅との違いは、お客様にはひとつの住宅を建てていただきますが、「まち」という付加価値が付いてくる事が大きなメリットと言えるでしょう。 見た目のデザインに制限はあっても、考え方でアピールする方法は考えればいくらでもあるものです。 LDKをひとつにまとめ無くても、家族や地域をひとつにまとめる事が出来る、間取りには設計者の想いがたくさん詰まっているものです。 これが既製品で無ければもっと良い空間になるのでしょうが、逆に既製品と言う制約があるからこそ生まれる発想もあると言う事でしょう。 バナナの叩き売りのような建売住宅も、少しはこのような発想をしてくれれば、まちの寿命はもっと長くなるのですけどね〜(笑)


不動産 モデルハウス リビング | living
大阪・大東プロジェクト(8区画)モデルハウス|リビング

不動産 モデルハウス ダイニング | dining
大阪・大東プロジェクト(8区画)モデルハウス|ダイニング

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