私たちの手がける小規模まちづくりプロジェクトでは、コンセプトを明確に打ち立てる、私たちは「コンセプト住宅」と呼んでいますが、モデルハウスを一邸か二邸建てて、気に入ってくださったお客様に街区の一画を購入いただき、お客様のご要望をお聞きして、コンセプトに沿ったイメージの間取りを提案します。 まちとして全体のバランスを取りながら、最初の企画からまちが完成するまで大体2〜3年の期間を要します。丁寧に創り込んでいくのが売りなので、これくらいの期間はかかります。 最初の販売開始時に全住戸のプランを用意するのですが、そのままを気に入ってくださるケースもありますが、それぞれご家族の構成やご要望は異なるものなので、そこは頑なに否定する事はありません。 事業主である不動産デベロッパーからすると手間がかかる要素に映ると思いますが、お客様に気持ちよく暮らしていただくためには、多少の手間も目を瞑ってもらっています。 モデルハウスを建築するわけですが、一番大変な作業はインテリアコーディネートです。 内装やカーテンなどは特に問題ありませんが、家具や装飾品の選定や搬入は大変な手間がかかるものです。 グレードが高めのモデルハウスの場合は、コーディネート予算もそれなりに確保されるのですが、そうでないモデルハウスは本当に大変です。 予算内に収まるようにあちこちの家具屋さんや雑貨屋さんを探し回って選定し、グリーンの手配をし、搬入日に段取りよく作業が出来るように配送手配をします。 グリーンの演出は重要なので、いつもこだわりのあるグリーン屋さんにお願いしています。 雑貨は価格に見合う良いものがなければ、ファブリック生地屋さんで生地を買ってきて私たちがファブリックパネルを作ったり、ニッチ(壁を凹ませた部分)の装飾も作ったりするので、何日かオフィスが内職デーになる事もしばしば、オフィスにミシンを置いてある程で、私もミシンを使えます。 ミシンの置いてある建築デザイン事務所って珍しいですね…(笑) ただ単にコーディネートしてあれば良いというものではなく、先の記事でも書いたように、「あ、これは〇〇の雑貨屋さんのものですね?」、「これはどこで買ったものですか?」と、お客様がモデルハウスにご来場いただいた際に共感されるものを選びたいので、本当に探す手間が半端なくかかります。 モデルハウスのコーディネートはカーテン屋さんなどが営業的に行う事が多いそうで、正直、手間がめちゃくちゃかかる割りに事業主の不動産デベロッパーはコーディネート費をあまり組んでくれないので、本当に辛い部分ではあります。 そうは言ってもモデルハウスの演出でプロジェクトの成否が決まると言っても過言ではないので、一切手を抜く事はしませんが、まあ、仕方ありませんね。 インテリアコーディネーターの皆さんは大変なお仕事をされていると思います。 印象に残っているのは、自然素材をふんだんに使った内外装プロジェクトの時で、家具は風合いのあるもので演出したかったので、北欧のビンテージ家具屋さんを探し回って調達した事があります。 長年、北欧で丁寧に使われていた家具が飴色に変わっていて、輸入したビンテージ家具屋さんが丁寧に補修してくださっている、歴史という風合いの演出には到底敵わないものです。 ビンテージ家具はそこそこお値段が張るので、事業主の違いのわからない担当者は「なんで中古を買ったのですか?」と少し怒って言っていましたが、「風合いと言う演出が必要だからですよ!」と言って、多少私たちの趣味に走ることもありました…(笑)
新築住宅のモデルハウスにビンテージ家具の組み合わせはあまり無いと思いますが、このプロジェクトでは多くのお客様に「使い込まれる事で風合いが出る」と言うコンセプトがズバッと伝わり、多くの共感を得ることが出来ました。 時には事業主を騙しながら趣味の世界へ走ってしまう事もあるのですが、結果良ければ全て良しですよね…(笑) 以下、いくつかモデルハウスのインテリアコーディネート例を掲載しておきます。
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