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不動産商品企画 まちづくり(3)商品としての建築 - 商品建築の評価軸とは? - | COCOCHI DESIGNS ココチデザイン

執筆者の写真: LichengLicheng

更新日:2020年12月8日


不動産 まちづくり モデルハウス 1 | facade
京都・木津川プロジェクト(21区画)モデルハウス|外観

これまで関西や中部地域を中心に2・3〜30戸程の小規模まちづくりを35物件程、本当に数多く手がけさせていただきました。 まちの外部要素としては、長く愛される景観形成を心がけ、コンセプトを前面に打ち出した事で、共感してくださるお客様同士が生活の中で自然とコミュニティーが形成され、周辺住民との繋がりも出来て、まちづくりのあるべき姿に近づける事は出来ていると思います。 まちを育てるという部分では、お客様に各住戸を引き渡した後のフォローが事業の性質上難しいので、住民同士の繋がりから育ててもらうしかなく、小規模まちづくりでも何か仕掛けを作る必要があると思うので、若干もどかしい部分が残り続けます。 そこは当該の小規模なまちだけでなく、地域の自治会などとの接点が自然と強まる仕掛けが必要なのかも知れません。 インフラの部分についても公道を浸透性インタロッキングなどにするのがやっとで、小規模まちづくりでスケールメリットが無い事が逆にデメリットで、まちとして循環型のシステムや防災対策の手立てを構築する事が事業主である不動産デベロッパーや管理する行政のOKを引き出す事ができにくく、デザイナーとしては難しさを感じる部分です。 各住戸の内部要素では、不動産デベロッパーの事業と言う性格上、既製品を使う機会は多いものの、住まいの快適性を確保できるように自然素材を使うなどしますが、本格的な注文住宅に比べて施工する職人さんの手が劣るので、出来る事が限られてしまいます。 太陽光発電やコージェネなどの採用はそれぞれのお客様のご予算やご意向によりますし、CASBEEやLCCM住宅などの評価基準が積極的に採用される訳でもありません。 外部要素と併せてサスティナブルな環境は構築しきれていないと言えます。 ↓ CASBEE(wikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/CASBEE ↓ LCCM住宅(LIFULL HOMES) https://www.homes.co.jp/cont/buy_kodate/buy_kodate_00447/ 昨今、まちのスマート化が叫ばれていて、新しい大規模まちづくりには適応しやすいと思いますが、私たちが手がけるような小規模まちづくりや既存の空洞化しつつあるまちをどのように対応させていくのか社会課題が多くあると言えるでしょう。 表題の評価軸について、このような社会背景を踏まえると小規模まちづくりには小さなコミュニティーが育まれやすく、長く愛されるまちと住まいの生活空間が近いのがメリットですが、これまでのバナナの叩き売りのような建売住宅を超えたクオリティーが発揮できているとは思いますが、上記に述べてきたような社会課題などからサスティナブルな社会を構築するためにどう評価すべきか、小規模まちづくりだけでなく、もう少し大きな面で考えていく必要があるでしょう。 現状、専門家目線で考えると難しい部分があります。 事業主である不動産デベロッパーにとっては良い商品が売れる事がひとつの評価ですし、コンセプトに賛同してくださってご購入いただいたお客様にとっては快適に賢く、人と触れ合いながらイキイキ生活できる事がひとつの評価でもあります。 それはそれで満足しているのですが、何度も言うようですが、これからの社会課題へのレールを引いてあげるのは私たち専門家であったり、地域社会や公的機関が連携するしかないのだろうと思います。 この分野のどの部分が評価されるのか、やはりサスティナブルな部分だと思うので、まだまだ遅れていると実感します。 まあ、私が理想とするまちづくりはインフラを新たに整備する海外か、私自身がデベロッパーとしてやっていくしか道が無いのかも知れません。 理想を追求し出したらキリがないので、一歩一歩前進していくしかありません。


不動産 まちづくり モデルハウス 2 | facade
京都・木津川プロジェクト(21区画)モデルハウス|外観

物足りない部分はあると認識しつつ、信念を持って丁寧にまちを創っていくと面白い事があるものです。 京都南部で「新・五感の街」という20数戸のまちづくりを手がけていた時ですが、モデルハウスを2棟建てて、残りはお客様と打合せしながら一邸一邸作り込んでいくのですが、それぞれの住戸の外壁色を変えながら全体として調和が取れるようにコーディネートしていきます。 若い世代のお客様が多く、あるお客様のお父様から、このまちをデザインしているのはどんな建築家か?と尋ねられ、お父様とお会いする事になったのですが、お父様は某有名国立大学の建築学部の教授で、ここまで丁寧に作り込んでいる小規模なまちは民間レベルでは珍しいね、と褒めてくださり、私たちの取り組みやプロジェクトの進め方をお伝えして、面白い取り組みで、研究対象としても面白いからご友人の他大学で建築を教えるT教授に連絡しておくよ、と言われました。 日を改めてT教授とお会いし、いろいろと取り組みをお話しさせていただき、先に挙げた課題もお伝えさせていただき、随分と興味深くお聞きになられていました。 不動産プロジェクトにとっては「商品」で、建築デザイナーにとっては「作品」である「商品建築」が学術的に関心を示す材料となった事は素直に嬉しい事で、これもひとつの評価に値するものだと思います。 まだまだ小規模まちづくりの地位向上のために頑張らないといけないと思った瞬間でした。 「商品建築」もそれなりに頑張っているので、こう言ったジャンルも正当に評価される社会になればいいなと思います。

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